においに順応

ある特定のにおいに順応すると、他の異なるにおいにも感じ方が弱くなる現象も。

これを交叉順応(相互順応)という。この現象は、交叉が起こる場合も起こらない場合もあり、しかも起こる場合でもその程度はそれぞれ異なる。

したがって、この現象を調べれば嗅細胞のレセプターとにおい物質の関係がわかり、においの分類が出来るのではないかといわれていた。

しかし、この関係は複雑で、明確な相関性は見出せなかった。たとえば、ペンタノールはプロパノールに対して交叉順応を起こすが、その逆の順応は明確ではない。

また、物質Aのにおいを嗅ぐと、物質Bのにおい感覚強度が促進することも稀にある。この促進現象は、脂肪族アルコール化合物どうしでいくつかみつかっているが、あまり多くの例はない。

においの交差順応は複雑であるが、汗のような不快なにおいを快適なにおいの化合物で部分的に交差順応させるような、悪臭に対する感知を軽減する機能として、マスキングとは異なる新しいアプローチが期待される。